秋の風を感じる９月の夕暮れ時、小金井新橋に幅広い年齢層の方々が集まりました。
今回は野川ほたる村主催の「鳴く虫を聞く集い」に参加してきました。
「今、耳を澄ませると何種類の虫の鳴き声がきこえますか？」
と武蔵野公園パークレンジャーの方から質問があり、皆んなで耳を澄ませます。
「今この辺りでリーンリーンと聞こえてくるのはアオマツムシです。木の上で鳴いているので上から降り注ぐ様に聞こえてきます。」と、小金井新橋から武蔵野公園入り口で説明がありました。
ここから虫たちの鳴き声を聞きながら夜のお散歩が始まりました。
「今この草むらでトゥルルルルと寂しげに鳴いているのがエンマコオロギです。鈴を転がした様な音と言われています。」
子供達はどこ？どこ？と懐中電灯で探しますが姿はなかなか見つけられません。
「今日は目ではなく耳で虫を探していきますよ。」
辺りは暗く、皆んなで耳を澄ませ虫の鳴き声を聞いていきます。
移動しながらパークレンジャーの方が草むらを照らすと、そこには脱皮したてのコバネイナゴが羽を乾かしていました。
その後、小金井市の虫「カンタン」の生息地へ。
くじらやまから野川を望むと正面に見える草むらがカンタンの生息地です。
「リューリューリューリューと連続して低く聞こえるのがカンタンです」
感覚を頼りに耳を澄ますと鳴く虫の女王の名に相応しい品のある鳴き声が聞こえてきました。
あちらこちらで「聞こえた！」「この音ですね！」とカンタンの鳴き声を聞いた方々が嬉しそうに話しています。
カンタンは鳴く虫の女王と言われていますが、鳴いているのはオスなんだそうです。
東京では多摩川の上流にいかなければ聞けない様な虫になってしまったカンタン。
野川ほたる村の方のお話しでは昔はこの辺りにカンタンは沢山いたそうです。
カンタンはアブラムシを食べる昆虫でヨモギなどのキク科の植物やクズなどが茂る自然環境が良好な地に生息しており、小金井市にはそんな自然環境があるという事で小金井市の虫に指定されたそうです。
※カンタンの鳴き声は市のホームページで聞く事ができます。
（※音量にご注意ください）
戦乱の時代に戦国武将がカンタンを枕元に置いて眠りについたお話しもありました。
パークレンジャーの方からは何故虫が鳴くのか、どうやって音を出しているのか、そして昆虫は場所によって棲み分けて共存しているといったお話しがありました。
やまべ橋の下ではオケラの鳴き声が聞こえるそうです。
はじめは2種類程しか聞こえなかった虫の鳴き声も帰る頃には5種類ほど聞き分けられる様になっていました。
江戸時代の人達は「虫聴き」と言って秋には月を愛でながら虫の音色を聞ききお酒を楽しんでいたそうです。
今回主催して下さった「野川ほたる村」の皆さんや公園管理の方、著名な昆虫学者の故小西正泰先生が守って下さったこの自然環境が子供達にも受け継がれていく事を願います。
※こちらの記事は小金井子育て・子育ち支援サイトのびのびーのへ寄稿させていただきました
コメント